個別指導が人気の理由
授業の形態も多様化してきています。
塾業界全体の売り上げに占める個別指導の総売り上げは、約4割ほどです。
個別指導塾が伸びている理由として、「国民の意識の多様化」「共働き世帯の増加」「手軽さ」の3つが挙げられます。
「国民の意識の多様化」とは、「みんなと同じ」よりも「自分らしさ」を大事にする傾向です。「ニーズの多様化」ともいえます。
「共働き世帯の増加」は、家庭で親が子どもの勉強を見てやる時間が減っていることを示唆します。今までであれば、集団指導を受けてわからないところは家庭で親が個別に指導していました。しかしそれができない状況において、塾による個別指導が必要とされているという流れがあるのです。
そして、「手軽さ」とは、好きな時間に好きなだけ受講し、料金はその分だけ支払えばいいという、フレキシブルさとリーズナブルさの両方の」ことをいいます。必要に応じて後から受講時間や受講回数を調整できるので、「とりあえず」という気持ちでも入塾しやすくなっているのです。
また、子どもたちの学習態度の変化を指摘する声もあります。
かつてであれば、自分で予習復習ができる子どもが多くいました。しかし、昨今は手取り足取り指示を出してあげなければ何から手をつけていいのかわからない子どもが増えているのです。これは、大人が常に子どもを監視下に置く子育ての風潮が影響していると考えられます。
確かに、手取り足取り個別に指導を受ければ、テストの成績は上がるかもしれない。しかしそのような方法で子ども本人が、自分で自分の課題を発見し、解決する方法を見出す力を身につけられるかというと疑問です。その意味で、個別指導にも2種類があります。
ひとつは面倒見よく、手取り足取りなんでも教えてくれる個別指導。
これだと、子どもはわかった気になりやすいが、いつまでも自立できない。
もうひとつは、子どもが自分で課題に気づき、自分の力で解決できるようになるのを
根気強く待ってくれる個別指導。
こちらではすぐには成績が上がらないかもしれないが、子どもの課題発見解決能力は鍛えられる。子どもの自立につながる個別指導が大切なのです。